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マクと洞窟の宝
「ぬおおおおおおおおおああああああ」
僕は手と足に全力で力を入れる。
なぜなら、天井が僕を押しつぶそうとしてくるからだ。
必死に潰されないように押し上げる。
でも天井と言ってもピンク色のワニの上顎なんだけど。
手足がヨダレでベトベトだ。鋭い歯の先端からはヨダレが糸を引いている。
結構かなり大きいワニだ。
「ここまで危険だなんて聞いてないよおじさん!!!!」
「はあはあ。ええ!?!?なんだって!?……おっと!」
おじさんはワニが噛み付いてきたのをかわした。
鋭利な歯がおじさんの服の端を噛みちぎる
「くっ、おらよぉっっ!」
おじさんはワニの攻撃のスキをついて、頭の上に鉄の太い針をぶっ刺す。
そうするとワニはピキィィィと声をあげて倒れた。
「これでワニ2匹倒した。残りはあと1匹、マックが相手しているワ……ニィィィ!!!」
おじさんがマクに目を移すと、びっくりして大声をあげる。
マクは、それはもう小さくコンパクトにまとまっていた。膝は完全に曲がって、ケツがワニの舌につきそうだった。
小刻みに震えてまだ死ぬもんかと耐えている。
「ふんぬあああああああああ!もうダメェェェェ!!!」
自分の足の筋肉からプチプチと変な音がなり始めた所で、急にワニの力が弱くなった。
おじさんがワニにトドメを刺したのだ。
マクは肩を上下に揺らしてはあはあ息をする。
初めて死ぬかと思った。というか、旅立ちの日に死ぬとか、ダメ。本当に。
おじさんは「ふぅー。」と言って汗を拭った。
「マック!死にそうだったな!危なかったなー!」
「こんなに危険だって聞いてないよおじさん!!助けてくれてありがとうだけど!」
「いやいや、普通に危険だから。」
おじさんは手を横に振る。
「猿の大群の時は捕まって、長い棒に縛られて丸焼きにされそうだったし、
虹色カメレオンの時は視界の色が虹色になってしまう病気にかかったし、パイおばさんの時は腹いっぱい過ぎて死にそうだった……」
「いや、怖い!けど!パイおばさんの話だけ凄く平和!!」
「いやあれが一番怖いぞ。食べないとお前を殴るって目をしていた。」
おじさんはゾッと悪寒に身震いをした。
僕はそれを見て、呆れてドカッと木にもたれかかる。
「まあまあ、気長に行こうマック。ちょっと休憩してから歩くよ。ワニが来るかもしれないからな。」
……僕は旅に出たことをもう後悔し始めていた。
「見ろよマック!!街だ!街だぞ!!」
「…………」
ぶっ通しで1週間も歩いてようやくついた。
僕は喜ぶよりも疲れの方が強かった。
早くベッドで寝たい。
……だが街に入ると気分が変わった。
僕の町とは違った雰囲気の街だったからだ。
僕の町はチキンをメインに売っていたが、この町は魚をメインに売っていて、ご飯時には美味しそうな焼き魚のにおいが町中に漂う。
街全体が傾斜になっていて、夕暮れが沈む海を望むことが出来た。
海鳥の声が遠くから聞こえる。
僕の街ではこうはいかないだろうなあ。
おじさんが宿を一室とってくれて、そこで寝ることになった。
「マックは敷布団ね?」
部屋に荷物を起きながらおじさんが言う。
「……別にいいけど」
本音はベッドで寝たい。それはそうだ。人間だもの。
「ははっ、マックは顔に出るな。よし。じゃんけんで勝ったらベットを譲ろう。」
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