マクと洞窟の宝

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「本当に!?いいのか!?」 「ああ!!いいとも。でも食べるのは半分こだ」 「半分も食えるんだったら幸せだよ。ありがとう。カムス」 僕はまさか酒を飲みながら魚が食えるとは思わなかった。 カムスは本当に魚を頼んで、ビアルと魚は一緒に来た。 塩で焼いた身がふわっふわの魚だ。 そして隣にある冷えたビアル。最高のコンビ。 「カムス君。君は恩人だ。ありがとう。」 「いいんだよ。大袈裟だなあ。俺も半分食うんだから。」 この街の魚は最高だった。大きい方をくれたカムスも最高だった。 「はあー……やっと今僕は旅に出て良かったと思ったよ。」 それを聞いてカムスは笑う。 「でも酒が美味いって、前働いてた時と一緒の喜びだと思うけど。」 僕は確かにそうだと笑った。 「実は俺も旅をしてるんだ。」 カムスはそう恥ずかしそうに言った。 「そうなのか!?もっと早くいいなよ。」 「君の話が面白かったから腰を折りたく無かったんだよ。」 確かに一方的に喋りすぎてたかもなと、僕は反省した。 「いやいいんだ。僕も北へ向かって旅をしてるんだ。北に向かってね。薬を売って歩いているんだ。」 マクは少しだけギョッとした 「薬って何の薬だよ。」 カムスは疑われているのにやっと気づいて、否定をする。 「違う違う、そういう薬じゃないさ。胃薬だよ。ぼくんちの庭に胃に効く植物や果実をいっぱい作ってるのさ。たくさん出来上がった物を加工して、こうやって毎年ここら辺で売ってる。」 「そうなのか。」 高値で僕に危険な薬物を売るのかと思ったけど違うみたいだ。 「でも今年は全く売れなくてね。こうしてやけ酒に来たんだよ。」 グイグイとビアルを飲むカムス。僕はちょっと手伝ってやりたいと思った。 「僕も売るの手伝おうか。疲れてるからたくさんは出来ないけど。」 そういうとカムスは首を横に振った。 「いいんだ。マク。ありがとう。」 「……本当か?」 「ああ。大丈夫だ。さっき他にいい商売をさっき見つけたんだ。」 「え?さっき?」 カムスは「うん」と言って後ろを向き、反対側のカウンター席を指さした。 「さっきあそこの方で飲んでたんだけど、おっさんたちがヒソヒソ話をしていたんだ。」 カムスは周囲に誰もいない事を確認すると、マクの耳を借りる。 「『宝の洞窟を見つけた。宝の箱は開けられず持ち運べず、まだ置いたままだ。箱には暗号が書かれていて、理解できない。だから信頼のできる頭の良い奴を探している。』そう言ってた。」 僕はちょっとドキドキした。 「きっと奴らは盗賊に違いないと思うんだよ。盗賊は馬鹿だから、謎が解けないんだ。」 カムスはそう言って頷く。 「君はそれを1人で行こうって言うのか?危険じゃないか?」 「確かに危険さ。1人だと死ぬかもしれない。でも、よく聞くと金貨3000枚の値打ちがあるらしいんだ。俺はそれを勝ち取って、遊んで暮らしたい。」 「き、金貨3000枚だって……!!」 銀貨1枚でお酒が1杯飲める。金貨1枚で10杯。3000で…… ああ、頭が痛くなってきた。なかなかの大金だ。 本当に数年遊んで暮らせるぞ。 「明日の夜に行こうと思ってる。内緒だぞ。マク。」 グビグビとカムスは最後のお酒を飲み干した。 「じゃ、またいつか。会えたら会おう。」 「……ちょ、ちょっと待って!」 マクはカムスを呼び止めた。 「それ僕も手伝えないかな」
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