第二章 🌕十六夜誘うキミは誰

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 つい返してしまう僕の口調に、雅日さんはクスッと笑う。 「なんですか」 「いや、正義感で良いなって思って」 「そういうわけじゃないですけど……自分の大切な人にあんな態度取るのって、ありえないっすよ」 「まぁさ、態度だけじゃわからない部分もあるから。彼女、怯えたり強張ってる風には見えなかったからあの二人はあれでいいのかもだよ」  けど、と食い下がる僕に雅日さんは「ティータイムの準備しよ」と、制した。たしかに、お客様のことをあれこれ詮索するのはよろしくない……たとえ常連さんでも、店と個人はなかなか繋がれないものだ。  午後のティータイムはすぐに忙しくなり、ぼくはすっかり彼女のことも、狼星と呼ばれていた男のことも忘れた。いや、忘れないとすぐにあの二人のことを考えてしまいそうで、敢えて体を動かしたんだ。  それでも時折、ふとあの二人の様子が思い起こされる。たしかに彼女は怯えていなかったし、二人の間の力関係はイーブンだと感じさせる何かがあった。けど…何かが納得いかないんだ。
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