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ベッドで寝ころんでいると、スマホの着信音が聞こえた。どうやら誰かからラインが来たようだ。手にとって見ると、川口君からだった。
”俺の小説。読んでみて。”
そのメッセージと共に、URLが載せられていた。クリックすると、小説投稿サイトの「Reiya」のトップページにつながった。
もう知ってるってのに。私は思わず笑ってしまう。
あの帰り道、私と川口君はラインの連絡先を交換した。
「お互いの小説、読み合おうよ」
彼がそう言った。私はもちろんうなずいた。しかし、「Reiya」にコメントを送り続けた人間の正体は、明かさないままにしておいた。
私はスマホを胸に抱え、川口君と二人で話をした内容を思い出す。誰かと小説のことを話し合えるのは楽しかった。しかも、その相手が、憧れの作家、「Reiya」なのだから、夢みたいな話だ。彼のことを想うだけで、顔がにやけてしまう。
私はスマホの画面を見る。ちょうど新しい短編が投稿されたばかりだった。また、コメントをしなくちゃ。今度は、リアルで、彼に直接。私はスマホを操作し、彼の作品を読んでいく。そして、スターボタンをクリックした。
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