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いつもと違う時間、違う車両。 あれから一週間。 あの時間の電車には乗っていない。 翼くんが、どれだけ彼女の事を好きだったか言われなくても分かってる。 そんな人に「よりを戻して欲しい」なんて頼まれたら……。 何も知らなかった時とは違う。 私は、翼くんの事を好きになってしまっていた。 多分、彼女がいた時から……。 二人で一緒にいる所なんて、見たくない。 だから、時間も電車も変えた。 あれからどうなったのかは、分からない。 でも、二人また仲睦まじく肩を寄せ合い、あの時間の電車に乗っているだろう。 「翼くん、笑ってるかな……」 あの笑顔を思い出し、ボソッと呟いた。
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