第間話 霊華の霊寒倶楽部

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第間話 霊華の霊寒倶楽部

『豆腐小僧と杏仁(あんにん)小娘(こむすめ)』  江戸時代の妖怪絵巻にはすでに登場していた豆腐小僧という妖怪がいる。しかし近年になって豆腐小僧と近縁と思しき、杏仁小娘という都市伝説の噂が東京近郊で広まっているようだ。  豆腐小僧といえば、他の妖怪の小間使いとしての位置付けや、雨の日に人の後ろをついて歩くだけの無害な妖怪として描かれていることが多い。しかし女性の特徴を備えた描かれ方をされている文献を見たことはなかった。  一方の杏仁小娘についてだが、豆腐を持った子供という風体こそ同じだが、持っている豆腐はカビが生えていて、その豆腐を渡された人の家には不幸が起きる、といった貧乏神としての要素が含まれていることが多い。また、雨の降る季節、といった季節的限定よりも、夕刻六時、といった時間的な条件があげられることがしばしばだ。これが江戸の話であれば男尊女卑の文化の影響とも考えられるが、近年になってから都市伝説となったことが興味深い。 ●霊華の個人的推察  もし、私が杏仁小娘に出会ったならば、あえて豆腐を受け取ってみるのも一興かもしれない。
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