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第9話 運命の針
静香は近くの新生総合病院に入院となった。
静香、きれいな個室を借りたぞ
ありがとうございます
ここは205号室で近くエレベーターの左にトイレがあるから
その時はお父さんに言いなさい
はい
しかし、それより静香は退院してから、またいじめられるのを恐れていた。
「おい、こら」
「ごめんなちゃいは」
「ははははは」
健一の近所の方から叫び声が聞こえた
「健一、健一、健一、お母さんが玄関で倒れているよ」
健一はすぐさま救急車を呼びます。
検査の結果は軽いめまいとの診断がつき健一は安心しました。
救急車で搬送されたのは新生総合病院
そう静香と同じ病院でした。
静香の部屋は205号室
健一の母の部屋は204号室、なんと隣の部屋です
ついに運命の針が回りだしたのです。
また、健一と静香はもちろん静香の父とも度々会っていたので
顔はお互いに知っています。
新生総合病院 204号室
「母さん、今日退院したばかりの患者さんがいて個室がとれたよ。」
「しかもトイレがエレベーターの右で近いからよかったな」
「ありがとう、健一」
新生総合病院 205号室
「静香、下に売店があるからジュースを買ってきてあげるから」
「何がいい」
「グレープジュースがいいです」
「先生と打ち合わせがある急がないと」
静香の父は医師と今後のことで打ち合わせをすることになっていた。
時間は3時だった。
新生総合病院 204号室
「母さん、何か飲みものを買ってきようか」
「いいのかい、健一」
「ああ、いいよ」
「じゃあ、グレープジュースを買ってきて」
「わかった」
健一の時計はもうすぐ3時だった、運命の針は回るのか
静香の父はエレベーターで売店に向かう。
健一は元気いっぱい、階段で売店に向かった。
「すいません、グレープジュースください」
「急がないと、打ち合わせに間に合わない」
「おばちゃん、グレープジュースはある」
「ああ、たった今、売り切れたよ、ごめんね」
「じゃあ、オレンジジュースをください」
すれちがいだった、運命のいたずらか
静香の父は打ち合わせが終わり病室に帰ると
静香がトイレに行きたいと言ったので
エレベーターの左側のトイレに
車いすに乗せて連れて行く。
ほぼ同時に健一の母もトイレに行きたいと言うため
エレベーターの右側のトイレに車椅子で連れて行く
あれ、後姿が本庄さんに似てる、でも髪が長かったからな
人違いか、違ったら失礼だしな
静香はドアを開けようとした時に
なぜかトイレを観ました。
あれ、健一さんの後ろ姿に似ている
でも身長が高いから人違いかな
再び、二人はすれ違ったのです
切ないという言葉しかありません
新生総合病院 205号室
健一さん、お元気にされていますか
でも、健一さんは元気ですからね
今どこにいるのですか
私はいじめられて怖いです。
怖いです、大勢の人からいじめられて
どうか助けて下さい
会いたいです、会いたいです
新生総合病院 204号室
本庄さん今どうしてるかな
どこにいるんだ
会いたい
いじめられていないかな
何かあったら必ず助けてあげるよ
守ってあげるから
その時がきたら待っていて
足は大丈夫か
一人で折り鶴を折るって言ってたけど
俺も折るから、そうしたら早く治るよ
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