第5話 花火

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第5話 花火

ほら お母さん どうしたの 折り鶴を折ったの 1000羽折ると歩けるようになるの 静香の祈りは届くのだろうか、それとも消えていくのだろうか。 健一は、とにかく静香のそばにいたかったのです。 季節は夏、丁度花火が適している頃でした。 花火をお店から購入してきて静香を誘います。 静香が前に住んでいた町は都会で花火ができる環境がなかったようです。 静香は喜んで花火を始めます。 健一も静香を喜ばそうと必死に話を盛り上げようとします。 突然、健一が口を開きます。 「本庄さん、中学生になったら俺と結婚してくれないか」 「いえ、できません」 「やっぱり、好きな人がいたのか」 「いえ、まだ早いです、大人になったらいいです」 小学生にして初めてのプロポーズでした。 健一は喜びいさんでこのよう言いいます。 本庄さん 俺さ将来は東京大学の医学部を出て本庄さんの足を治してあげるんだ 静香はわかっていました。 「いえ、折り鶴を1000羽折ったら歩けるようになります」 「今、100羽折りました、でも本当は・・・・」 涙を流しながら話す静香に健一も静香の悲しみが伝わってきます。 本庄さん、俺といっしょに折ろう、そうしたら歩けるようになるよ いえ、私が折らないと駄目なのです じゃあ、最後の1000羽目を俺が折るから そうしたら、必ず歩けるようになるよ はい 約束するから 力強い言葉に静香は励まされます しかし静香はこういいます。 「わあ、花火が綺麗」 「でも消えてなくなるのですね・・・・」 健一はここぞというときに取っておいた秘密兵器をだします。 それは、お店の中で買った一番大きい打ち上げ花火だったのです。 「本庄さん、最後に一番大きい花火を」 「わあ、大きい」 「本庄さんもこんなに大きく輝く時がくるさ」 「消える前に僕が拾ってあげるよ」 「僕が本庄さんの片足になるよ」 「そう、その笑顔だよ」 切ない心と希望の光の交錯だった 花火が終わると辺りは静まり返り その小さな空間の中で健一と静香の楽しい話が続いていました。 静香も楽しい時間と立ち直れる時間が得られました 笑顔が飛び交います 二人は願います ずっとこのままでいられたなら 健一は、静香を強く励まさなければいけないと思いでいっぱいだった。 静香は健一の優しさに励まされ 明日からも頑張らなければいけないという気持ちでいっぱいです。 ふたりの心が交わる日となったのです。
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