第6話 それぞれの思い

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第6話 それぞれの思い

静香の父と母は毎日のように話し合いや 時には口論になることがしばしばありました。 理由は静香の足のことです 父は歩けないことを静香に告知すべきだと主張し 母は歩こうと必死で頑張っていることや また歩けるようになることを信じて 毎日のように一生懸命に折り鶴を折っている姿見ていると 告知することは辛いと訴えます 辛かったというより出来なかったのです また父も告知すべきだと思いつつ同様に出来きませんでした 「お父さん、綺麗な折り鶴を折ったよ、お父さんにひとつあげる」 「ああ、ありがとう・・・」 「お母さん、少しだけ歩けるようになりました」 「お父さん、お母さん」 今日は折り鶴を、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ ほら沢山折ったでしょ さぞかし、辛かったことでしょう 本当は静香はもっと辛かったかもしれません。 話は健一の入院している兄の話になります 母さん、兄ちゃんの病院へ見舞いに行こうか 病院に行き先生の説明を聞きます。 先生、みつるはどうでしょうか はい、だいぶ良くなりました幻覚や幻聴もほとんどなくなりました 面会も大丈夫ですよ はい、ありがとうございます みつる、みつる、体の調子はどう お母さん、いつも心配ばかりかけてごめんね いいんだよ、心配かけていいんだよ ごめんね、お母さん うううう 母さん泣いたら駄目だよ 母さんのせいじゃないよ 健一ありがとう 病院を出て親子で話しをします。 母さん、もう少ししたら退院だよ 今度は薬の飲み忘れがないようにしよう 大丈夫だよ母さん 静香、健一、お互いに痛みがあります 「健一さん、ほら頑張って折り鶴を折ったの。おお、きれいだね」 「歩けるようになるまでもう少しかな・・・」 「そうだな・・・やっぱり俺も折ったら駄目」 駄目です、そのかわり最後の1000羽目を折ってください そうしたらきっと歩けますよね もちろんだよ その時は結婚してくれるかな はい 結婚すら出来ないと思った静香はその日はひとりで帰ったのです。 「健一さん・・・」
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