第7話 トラックが走り出す

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第7話 トラックが走り出す

今週の土曜日は卒業記念のキャンプでした。 はしゃぐ健一に、不安げな静香。 しかし、健一は静香の気持ちを察しました。 テントが入り口までの距離があると歩行が辛いからです。 幸いにも担任の先生が入り口に近い場所にテントを用意してくれました。 改めて静香は足の不自由さに悲しみを覚えます。 「残念だけど俺のテントと離れていたね」 「はい」 「でも、入り口に近いテントでよかったね」 「そうですね」 健一は静香を元気づけるために近くの海へ誘います。 ふたりは輝く青の世界に吸い込まれそうでした。 「本庄さん、ここに座っていて貝殻を拾ってくるよ」 「はい」 不安ながらも胸の鼓動がなりながら待つ静香に 自慢げに貝を取ろうとする健一 波打ち際には貝殻が広がっていました。 健一はピンクの貝殻を静香の元に届けます。 静香は未知なる世界だった。 海に行ったことが無かったのです。 「私も拾いたいな、でも浜辺は歩けないですね」 「大丈夫だよ、おんぶしていくから背中に乗って」 健一は静香をおんぶして波打ち際まで行きます そこは貝殻であふれています。 静香は思わずささやかな喜びの声をあげます。 「わあ、きれい」 「全部持って帰りたいな」 「全部拾ってあげるよ、本庄さんにあげるよ」 「ありがとうございます」 健一は静香の喜ぶ姿を見て喜ぶとともに複雑な心境でした 静香の将来を子供ながら案じていましたいました どうして、本庄さんは辛い思いをしないといけないの 花火をした時にあの寂しそうな表情 健一は、明るくふるまい元気な姿をみせます しばらくして、ふたりは座って話をします いろいろな話をしていくと、静香は涙を流しはじめます。 驚いた健一は、静香に理由を聞くと 小学校を卒業したら転校するということでした 理由は学校の教師である父親の転勤だった 住む場所を静香に聞くと 場所はわからないが健一が住んでいる町から 2時間かけた町だと父親に聞いたみたいです。 健一はショックを受けます 中学校から別々の学校に行かなければならないのです 静香も涙があふれてとまりません 貝殻を持って帰ると同時に悲しみも持ってかえりました。 いよいよ、引っ越しの日が来ました 健一は荷物を運ぶと同時に今までの時を運ばなければなりませんでした 「お~い、静香、荷物をトラックに積み終わったからそろそろ出発するぞ」 突然、別れが降ってきました 目と目が合うふたり ふたりの目には抑えきれないない感情があふれている 今までの思い出が走馬灯のように走り抜ける タンポポ、ホタル、海辺にて貝殻を拾ったこと 心は切ない感情でいっぱいです トラックには荷物もっぱいです ゆっくりトラックが走りだす。 「健一さん・・・・」 「本庄さん・・・・・・」 「健一さん・・・・・・・・・」 本庄さんが泣いている 手を振っている 走れ 「本庄さん・・・・・・・・」 さらに手を振っている 「本庄さん・・・・・・」 もっと走れ 本庄さんが見えなくなった でも、何かあったら守ってあげるよ
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