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沈丁花さんからの贈りもの
3本目の更新です💕
大切な創作の友人・沈丁花さん@daphne_estar から、素敵なクロスオーバー作品を誕生日にいただきました。
私が以前、沈丁花さんの『朝日に捧ぐセレナーデ』https://estar.jp/novels/25665253と、『重なる月』の翠と流をクロスオーバーさせた作品があります。(30スターとハードル高くすみません💦)
https://estar.jp/extra_novels/25922820
この話の続きで、東弥くんと静留くんが月影寺に遊びに来てくれる話になっています。花ちゃんに許可をいただいたので、読者さまにも共有させていただきます。
【沈丁花さんからいただいたSS】
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「えっと……んー……。」
“月影寺”、と書かれた木製の大きな表札を前に、大きく首を傾げながら考え込む恋人を見て、東弥はふっと口元を綻ばせた。
どうやら漢字が読めなくて困っているらしい。
首を傾げている様子はずっと見ていたいほど可愛らしいが、今日はいつものようにずっと見ているわけにもいかない。
なぜなら、この入り口の向こう側で知人と会う約束をしているからだ。
「つきかげでら、って読むんだよ。」
小さな頭を撫でながら、答えを教えてやる。
すると、静留はオニキスのような瞳を明いっぱい輝かせながら東弥の方を見上げた。
「東弥さん、すごい!」
高い声が囀るように紡がれて、その愛らしさにどきりとさせられる。
この天使が自分の恋人であることを、東弥は付き合って5年経った今でもときどき信じられない。
そのとき、かさりと落ち葉の音が響いて、聞き覚えのある低く男らしい声が響いた。
「相変わらず仲良しで何よりだな。東弥。」
振り向けば、日本人離れた彫りの深い顔立ちの男が腕を組んで立っている。
横に流した長い髪と少し着崩された作務衣姿もまた、彼の男らしい色気を強調していた。
「流さん。お久しぶりです。今日はお招きいただきありがとうございます。」
そう、彼こそが今日東弥達が会う約束をしていた人物の1人である。
「ございます!……あの、いっきゅうさんは……?」
流の姿を確認した静留が、落ち着かない様子できょろきょろと彼の後ろを探し始めた。
「いっきゅう……ああ、翠のことか。翠なら中に…… 」
「流、そろそろ静留君たちが……あれ、もう来ていたんだね。いらっしゃい、静留君、東弥君。」
流の言葉を遮るように、お寺の中からもう1人の男性が出てきて、東弥と静留に微笑んだ。流と同じく作務衣を纏った、幸薄げな男だ。
名前は、翠。静留はここに来るまでずっと翠と遊ぶのを楽しみにしていた。
「いっきゅうさん!」
花のように笑みながら、静留が翠の方へ駆け寄る。
翠はそんな静留を優しく抱きとめ、“いらっしゃい”、と微笑んだ。“いっきゅうさん。”静留が嬉しそうにもう一度彼を呼ぶ。
翠の見た目が若すぎることを除けば、まるで親子のような微笑ましい光景だ。
一方、門の近くから見守っていた2人の男にとっては実はあまり面白くない。
「……流さん、いいんですか。あのままで。」
「そういう君こそどうなんだ、東弥。」
「引き離したいですが、あの天使みたいな静留の笑顔を泣き顔に変えることはできません。」
「天使は翠だろう。……いや、翠は女神か。」
「…… 」
苦労の絶えない2人は、各々の恋人の自慢をして気持ちを紛らわせたのだった。
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可愛いお話に頬が緩みます。
本当にありがとうございます💕
またこちらからもクロスオーバーしたいです。
朝から3本も更新してしまいました。
🍀今日もよい1日でありますように🍀
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