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小話『幸せなラブコール』
おはようございます。うみです。
今日で9月も終わりですね。
秋庭に大阪の叔母のお見舞い、誕生日に次女の文化祭、義両親との旅行と大忙しでしたが、なんとかスケジュールをこなせました。
旅行以外では創作も毎日更新出来ました。
10月は、7月に延期にした読者さまとのオフ会をしようと思っています。
他は大きな予定もなく、比較的ゆっくり秋を楽しめそうです。
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読者さまからお手紙をいただきました。
便箋とシールが素敵です。
お手紙の内容も心温まるもので、このエッセイを毎日続けて良かったなと想いました。
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今日は小話を一つ
『幸せな存在』で宗吾さんと瑞樹が離れているのが寂しいので……
昨日の『今は初恋、』https://estar.jp/novels/25931194の裏話を即興で。
『幸せなラブコール』
「葉山、もう上がっていいぞ」
「お疲れ様です。あの、ブーケを一つ作っても?」
「いいよ。誰かにプレゼントか」
「はい……母に贈ろうと思って」
「へぇ、親孝行だな」
白石想くんは繊細で優しい雰囲気の青年で、両親から愛情を注がれて育ったのが一目で分かったので、淡く優しい色でふんわりとした花束をイメージして作った。出来たての花束を嬉しそうに抱きしめてくれて、僕も達成感があった。
だからなのか……僕も無性にお母さんへ贈る花束を作りたくなってしまった。
帰り道、宗吾さんに電話をした。
「宗吾さん、今から芽生くんを迎えに行くのですが、少し寄り道をしても?」
「うん? どこに?」
「お母さんの家に寄ろうと思って」
「珍しいな」
「会いたくなって」
「嬉しいよ。俺も小学校に行くよ」
「じゃあ、一緒に……」
花束を持って小学校に迎えに行くと、芽生くんがキラキラした瞳で見上げてくれた。
「うわぁ、きれい! やっぱりお兄ちゃんにはお花が似合うね! でもどうしたの?」
「そ、そうかな? お母さんに渡そうと思って」
「おばあちゃん、紫のお花大好きだもんね」
「そうだよね」
芽生くんと下駄箱で喋っていると、宗吾さんがワッと飛び込んできた。
「悪い! 遅くなった。さぁ行くか。瑞樹は大荷物だな、持つよ」
「これは宗吾さんへのお土産です」
「おお! ビールじゃないか! でかしたぞ、瑞樹!」
「くすっ」
花束とビールと家族。
これが今の僕なんだなと、しみじみと思った。
その晩、お母さんは花束のサプライズを喜んでくれ、宗吾さんはビールに興奮してくれた。
「『ラブ・コール』か、えらくドキッとするネーミングだなぁ」
「ですよね。僕もドキドキします」
「じゃあ、向こうでもっとドキドキしないか」
手を引かれて寝室に誘われる。
宗吾さんに抱きしめられて、僕はベッドに沈み込む。
「今日は耳元でラブコールだ」
「……はい」
「もしも君が出張で遠くに行くことがあったら、夜な夜なラブコールをするよ」
「はい……ぜひ、そうして下さい」
僕は本当はとても寂しがり屋だから……それが嬉しい。
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