(18時に小話・加筆しました)小話⑥『もう一人の瑞樹』

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(18時に小話・加筆しました)小話⑥『もう一人の瑞樹』

おはようございます。うみです。 昨日の話ですが旅行🛫の行き先が決定しましたよ。 今回は【広島🍁】になりました。 読者さまで広島在住、もしくは住んでいらした方、ぜひぜひ旅のアドバイスをして下さい。オススメの観光スポットや美味しいもの、お土産、お菓子など現地情報が欲しいです💕 **** 雪兎のてぬぐい お正月の福袋に入っていた手拭いがすごく可愛くて、リビングの壁に飾っています。 雪兎って、可愛いですよね。雪が降ったら作りたくなります。 ところで【日本橋木屋】さんは良いですよ。 調理器具への愛を感じます。 132e6687-5e9e-46c8-b8ad-b89af391632f **** 美味しいお菓子をいただきました。 祖母も好きだった東京の銘菓です。 栄久堂さんのソフトマーマレードとソフトバターは1個140円で絶品です。 6951474a-dcd3-4203-aef3-7c820a37923c 懐かしくて優しい味。 きっと芽生もいっくんも好き💕 この焼き色も最高ですよね。 しあわせになる~🎵 4511e44b-5f32-4a13-85c4-a992097aee44 小話の続きを💕 小話⑥『もう一人の瑞樹』 **** 帰宅すると、宗吾さんが出迎えてくれた。 「瑞樹、お帰り!」 「すみません、遅くなりました」 「たまにはいいじゃないか。楽しかったか」 「はい、でも、恋しかったです」 「え?」 「……宗吾さんが」  思わず自分から抱きついてキスをしてしまった。  宗吾さんは目を見開いて、立ち尽くしている。  自分がするのは好きなのに、されるのには慣れていない人だから。 「今日はサービスがいいんだな」 「……僕の匂い、ちゃんと覚えて欲しくて」 「え?」  宗吾さんが瞬きを何度もする。  くすっ、分かりやすい人だな。  じっと見つめると、目を泳がしてしまった。 「瑞樹……瑞樹は君だけだ」 「はい」  明らかに『やましいことがある』と顔に書いてありますよ。  宗吾さんって絶対にあり得ないけど、浮気なんて出来ない人だ。  僕は嬉しいけど、宗吾さんが少し哀想になってきた。  宗吾さんを惑わしている『もう一人の僕』の正体を明かしたくなったが、ここは洋くんの言う通り、流さんに種明かしをお願いしよう。  あ、あくまでもこれは事実を見せるだけで、制裁ではない!(はず!) ****  珍しく月影寺の流から電話があった。  画材を買いに出て来たので、昼休みに会えないかと誘われた。  指定されたのは、銀座の五越百貨店の熊の像の前。 「宗吾、こっちこっち!」 「おぅ! 流が銀座まで出てくるなんて、珍しいな」 「ある特命を受けてな」 「特命って誰のだ? 翠さんか、洋くんか」 「まぁまぁいいから、まずは買い物に付き合えよ」 「?」  連れて行かれたのは、化粧品売り場だった。  どうして化粧品売り場に?   「誰かに贈り物か」 「んー、ちょっと物色してる。どこに置いてあるかな~?」  流が鼻をクンクンさせながら、キョロキョロと辺りを見渡している。  不思議に思いながら歩いていると、突然あの香りがやってきた。  ち、近い……!  今までにない程、近くに瑞樹がいる‼  俺が間違えるはずはない。  この清楚なすずらん香り、人工的でなく野の花に揺れる風の香り。  瑞樹、どこだ? 隠れていないで、いい加減に出てこいよ!  思い切って顔をあげると、瑞樹の姿はなかった。いや、いるはずもない。彼は今日は静岡まで日帰り出張に行っているから。  その代わり若い女性が何人も前を通り過ぎていく。  その度に、瑞樹の香りが漂ってくる。  うーむ、瑞樹じゃないなら、やはり、もう一人の瑞樹がいるのか。  一体誰だ?  焦っていると、流が手招きする。 「宗吾、そんなに、もう一人の瑞樹くんに会いたいのか」 「なんで、それを知って?」 「宗吾の様子、さっきから明らかに変だし、周囲には瑞樹くんと同じ匂いがプンプン漂っているからな」 「流石、俺の流だ。流も気付いてくれたのか」 「おい、俺のは余計だぞ」 「だな。俺は浮気するつもりは毛頭ない。だが気になって仕方がなくて……つまり、この中に瑞樹と同じすずらんの体臭を持つ人がいるということになるのか」 「結論から言えば、いる」 「やっぱり……流には誰か特定出来ているのか」 「あぁ、分かっている。会ってみたいか」  どう答えるべきか、ぐぬぬ……と迷った。  昔の俺だったら飛びついただろう。興味本位で、ワクワクドキドキと。  だが、今は違う! 瑞樹一筋だ。 「いや、やめておく。俺にとって瑞樹はただ一人だ。体臭が似ていても、その人は瑞樹じゃなく別人だ! だから興味はない!」  流がパチパチと拍手をした。 「へ? なんで?」 「宗吾ちゃんよ~ そのストイックさ! 一発合格だ!」 「へ?」 「ここで終わるべきだが……新春スペシャルだ。せっかくだから会わせてやるよ。もう一人の瑞樹ちゃんは白い服で頬は桜色、中身はとても美しいボディですずらんの香りを秘めている」  流の言葉が生々しくて、俺は真っ赤になって目を瞑ってしまった。 「宗吾、ちゃんと持てよ」 「持つ? いやいや触れるわけには」 「くくっ、大丈夫。とても軽い子だ」 「……そりゃほっそりとした子が好きだが」(しまった! 誘導尋問だ!) 「ははっ、そうだろう。気に入ったのなら、お持ち帰りしていいぞ。俺が買ってやるぞ」 「お持ち帰り? か、買うって!」    焦ってバッと目を見開くと、ポンッと白い箱を手にのせられた。 「へ? これは」 「コリスチャンテオールのすずらんのオーデトワレだ。まぁ宗吾が間違えるのも無理はないか。これはまるで花屋で嗅ぐすずらんの香りそのものだからな」 「お、オーデ……トワレ?」 「ほら、手を貸せよ」    シュッと一吹きされると、もう一人の瑞樹がやってきた  げげ、なんてことだ! 俺は香水の匂いなんかに惑わされていたのか!  瑞樹ごめんな。いらぬ心配をかけたのでは? と深く反省した。  だがその一方で、瑞樹そのものの香りに、身体を重ねた時に汗と混ざって立ち込める官能的な香りを思い出し、うっかり口走ってしまった。 「それにしても、これはまさに『俺のみーくん♡』だな。この香りがあれば、いつでも瑞樹と一緒にいる気分になれて幸せだな、寂しくないな」  それを聞いた流がニヤリと破顔した。とても悪い顔だ。 「はははっ、その気持ちは分かる。俺なんかついに翠の匂い袋を作って持ち歩いている始末だ。翠には怒られたけどさ。やっぱり宗吾は俺と同レベルだな。残念ながら洋が願った制裁とは程遠い反応だ。さぁもう決まりだ。今度一緒にお仕置きされにいこうぜ」  渡されたのは『月影寺・座禅体験』チケット。 「光栄なことに住職自ら渇を入れてくれるそうだ。だから俺と一緒に煩悩を拭き飛ばそうぜ! だが俺たちから煩悩を取ったら何が残るんだ?」 「きっとスカスカで物足りなくなるだろうな」 「お! 宗吾もやっぱそう思うか」 「あぁ!」 「気が合うな、流石、俺の宗吾だ♡」 「おい! 俺のはよせ、気色悪い」 「ははっ!」     あとがき **** 今は同人誌原稿をやらねばいけないのに…… 結構長く書いてしまいました。 一つお断りをさせて下さいね。 エッセイに置く小話は本編ではなく、あくまでもここ限定の娯楽小説です。最近とっても寒くて身体が強張ってしまいがちなので、元気をチャージしていただきたくて、気ままに書いています。本編が今割と良い意味のシリアスなので息抜きも兼ねています。もしかして今日の内容で、宗吾さんも流もそれはないよと思われた方はごめんなさい😅 今日も明るく楽しい1日でありますように🍀 寒い日々ですが、元気をチャージしてお過ごし下さい⛄  
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