小話⑬『もう一人の瑞樹』

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小話⑬『もう一人の瑞樹』

おはようございます。うみです。 昨日は寒かったですね~☃ 東京は夜、風が台風のようで家族が震え上がって帰宅しました。 夜ご飯は鱈の味噌キムチチゲにしましたよ。 韓国料理は身体が温まっていいですね! 全国的に雪が降った地域も多かったですね。 どうか足下にお気を付けくださいね。 **** アンケート結果 7位は「全く新しい作品が読んでみたいです!」でした。 5f4f4191-1922-45ff-a3f1-c74bbe703596dbc455d0-f176-4ee1-905d-af484d336feb ➯わぁ、なんだかこれはこれで嬉しいリクエストですね。 シリーズ長編が圧倒的に多いですが、全く新しい話を考えるのも 楽しいですよね。新しい読者さまにも喜ばれるかも。 ➯旅した地方のメンズ💕良いですね。 私はずっと東京育ちなんですが、東京の男の子が地方で働くことになって、地方の男の子の出会い・その地方の子は地元産業に従事しているのとかいいですね。広島もしっかり取材してきます。愛媛も良かったし💕朝から妄想膨らみましたよ。 さて、小話の時間です😆 もう14話も書いているのですね。 気ままに書ける小話スタイルも好きです^^ 読んで下さる読者さまに感謝です💕 **** 「おやぶん、でもくまちゃん、びしょびしょで、かぜひいちゃうよ」 「だな! ちゃんと乾かしてやろう」 「うん!」  見渡すと脱衣場の壁には、外国製の有名なドライヤーや上等そうな白いバスローブなどがかかっていた。  流さん、贅を凝らしているな。 「芽生坊、これ羽織ってろ」  父さんのバスローブを羽織らせやると、何もかも丈が長く可愛かった。 「おやぶんもかぜひいちゃうよ」 「なぁに、大丈夫さ」  さすがに流さんのはまずいよな。  腰にタオルをサッと巻いて、芽生坊の黒髪にドライヤーをかけてやった。 「すごい風ー くまちゃんにもあてて」 「あぁ」  くまにもブォーンと大風量の風をあてる。  すると何か焦げ茶の紐が出て来た。 「ん? なんだ?」 「おやぶん、こぶんがたしかめます!」  芽生坊がその紐をグイグイ引っ張ると、ヤバイ! 「待て!」 「あれれ? くまちゃんのお口、なくなっちゃった」  ゴシゴシ洗いすぎて、口元の刺繍がほつれたのか。  それを引っ張ったから、口が……なくなった! 「わーん、どうしよう! くまちゃんのお顔、もっとこわいことになっちゃったよー」 「……参ったな。オレ、縫い物は無理だ」  途方に暮れていると、中庭で洋さんが猫と戯れているのが見えた。 「よし! ヘルプを求めるぞ」 「あい! オヤブン」  洋さんはオレたちに気付くと、驚いた顔をして、辺りをキョロキョロ見回していた。 「いいから、こっち来てくれよ」 「ど、どうして、ここに? って、芽生くん、こんにちは」 「よーくん、こんにちは! あのね、ぼんぼんぼんのうをおいはらっていたのー」 「ははっ、煩悩のことか」  芽生坊はオレより年上の洋さんなら、この非常事態をなんとかしてくれると信じているらしい。だが、オレは最初から洋さんを通して、丈さんに頼むつもりだった。  芽生坊は、口のなくなったクマのぬいぐるみを見せて、必死だ。 「ようくん、ようくん、たすけて」 「ど、どうしたんだ?」 「お口、なおしてぇ」 「え? 俺?」  事情を話すと、洋さんは興味深そうな顔を浮かべた。 「いやいや、丈さんがいたら……是非にってことで」 「……丈はいないよ。だが流さんの工房に針と糸があるのは知っている」  うわわ、悪戯な笑顔を浮かべているな。 「だから、俺が縫ってやる」 「わーい!」 「ええええ!」  オレと芽生坊で反応が分かれた。 「よーくん、よろしくおねがいします」 「可愛いな、薙くんの弟みたいだな」  洋さんがくまを抱いてフフンと鼻歌を歌いながら、離れの工房に消えていった。  一抹の不安だけが残る。  洋さんの不器用さは、料理で実証済みだよな。  あの世にも不気味なハンバーグ、忘れられない。  まずい、まずいことになった!  父さんと同レベル、それ以上に不器用な洋さんに縫い物なんて、到底無理だ。  丈さんにしばかれる。  真っ青になって慌てて服を着て工房に入ると、洋さんが格闘していた。 「ううーん、薙くん、縫うのって難しいな」 「ひ、ひぇっ」  さっきまでちょっとだけ悪そうなくまさんだったのに、ジグサグの口で、もっと悪そうなくまさんになっていた。 「……いっそ、筆で描くか」 「いやいや、それは……ちょっと……」  芽生坊が不安そうに、ことの経緯を見守っている。  ううう、この事態を収拾できるのは、流さんしかいないだろ。 「だ……だいじょうぶかなぁ」 「あ! そうだ! 芽生坊、座禅場に行こう! このくまの顔も、そこでいい子になるらしい」 「そっかー、だから、もっとわるそうなお顔になったんだね」  しーん     うわわ、沈黙が怖い。  洋さんの顔をおそるおそる見ると、笑いを堪えているようだった。  洋さんも寛大になったよな。 「それがいい! さぁ行っておいで」 「うん!」  俺たちは妙にふわふわに毛並みが整っているが、悪そうな顔のくまを抱いて、座禅場に向かった。  するといつもは静まりかえっている部屋から、ビシバシッと痛そうな音がひっきりなしに聞こえてきた。  ハァハァと肩で息をするような荒い息づかいも。 「あのぉ……父さん、入ってもいい?」  声を掛けると、すぐに汗まみれの父さんが出て来た。 「薙っ、どうした?」 続く~♫ 今日もよい1日でありますように💓  
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