第6話

2/4
前へ
/27ページ
次へ
傍らには、若かりし頃の祖父の写真立ても置かれていた。 共に置かれていた薬の袋と、若い祖父の写真が妙にミスマッチだった。 「ばあちゃんも、赤が好きって言ってました。プロポーズの時に南天をもらったって言ってたんです。」 「そうそう。私もその話、よく聞くのよ。ねえ、サワさん。」 そう言って、ヘルパーが祖母の方を向いて名前を口にし、2人で祖母を微笑みながら見つめた。 すると、数秒後に祖母はゆっくりと目を開けた。 それに気づいたヘルパーが、嬉しそうに声を上げた。 「サワさん、お孫さん来てますよ!ヨウコさん!」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加