第5話

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第5話

大学2年生の冬、一人暮らしをしていたヨウコは、帰省がてら1人で祖母の家に立ち寄った。 2か月前から、祖母はベッドの上で寝たきりとなっていた。 てきぱきと介護する年配の女性ヘルパーの横で、話しかけても反応がなく、自分を認識してくれているかも分からない祖母の様子に、ヨウコは不安しかなかった。 「すみません、ばあちゃん、大丈夫なんですか?こんなばあちゃん、見たことなくて…。」 ストーブの上に載ったヤカンが、静かに蒸気を出している。 温かい部屋に微かに漂う灯油の匂いが、田舎の冬を感じさせた。
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