第6話

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嬉しそうに話すヘルパーの声に反応し、祖母の視線がヨウコに向けられた。 「…ヨウコ…ちゃん。」 「ばあちゃん久しぶり!起こしちゃってごめんね。…来たよ。」 祖母の反応を見て、ヨウコは続けた。 「赤いバッグ、大事に使ってるよ!友達にね、かわいいって言われたよ!」 急いでバッグを取りに行き、祖母の元に置いた。 祖母は、大きく動けはしなかったものの、ようやく出せた左手で嬉しそうにバッグを撫でていた。 そして、涙が一筋、枕元に静かにこぼれていくのが見えた。
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