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それに、と彼は続けた。
「星歌は俺以外からモテる必要ないし。異世界でも、現世でも」
プイッとそっぽを向く行人の顔を覗き込むため、星歌はそちらに回り込んだ。
「行人、顔赤いよ?」
「あ、赤くない!」
夕陽のせいだよ、と彼は首を振った。
夕焼けの赤なんて、もう地上には残っていないのに。
「当分異世界はいいよ、私は。だって、現世に行人がいるからね」
「星歌……」
行人の頬は夕暮れ色だ。
そっと伸ばされた手が、彼の指を握る。
見上げた空は、街の灯かりに照らされて青白く霞んでいる。
けれども、ふたりの周りには輝く星が降り注いでいた。
星降る世界で君にキス・完
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