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単純な回答を見付け、安堵したように彼女はウンウンと頷いてみせる。
「昔は可愛かったのになぁ、この子」
小学三年生のときに親同士の再婚で義弟になった行人への恨みが、ふと漏れる。
「……ごめんね、姉ちゃん。俺、聞いちゃった」
「なにが?」
義姉の視線を痛いと感じたのだろうか。行人が湯呑を座卓に置いた。
「……姉ちゃん、またフラれたんだって? ごめんな。俺が美人なばっかりに」
──チクショーーー!
か細い声で、星歌が吠える。
「自覚があるだけタチ悪いよー!」
「ごめんってば。けど、俺のせいじゃないし……」
「その言い草がすでに……すでに腹立つんだよ! かってに相手がホレてくるんだもの、アタクシのせいじゃなくてよって言ってる高慢ちきな令嬢みたいだよ!」
「い、意味が分からな……? 姉ちゃん、ラノベの読み過ぎだって」
「ラノベは私の生きる糧なんだよぅ……」
涙をポロポロこぼしながら、尚もココアをすする星歌。
「かくなるうえは、すべて聞いてもらうからな」
そう前置きすると、彼女は最悪な一日を語り始めた。
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