エピローグ 異世界転生はあきらめます

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 星歌がまんじりともせずに世界遺産のDVDを見ていた週末。  土日が休みの行人はストレスからくる胃痛がこうじて、実家に戻っていたらしい。  星歌としては、それならそれで連絡くらいよこせと言いたいところだが、彼は言葉を濁す。  前夜、姉に言ったことへの負い目もあったのかもしれない。 「たまに帰るとお母さんが張り切って、鍋にするから泊まっていけって。次の日は朝からカレーだし、昼は昼でステーキ作ってくれるし。もぅ、お腹が苦しくて……」 「お母さん、やたらと行人に食べさそうとするよね。私には痩せろって言うのにね。なんでだろうね、私は太ってない。むしろ痩せ気味なのにね」 「う、うん……。今度、姉ちゃんの誕生日に体重計を贈ろうか」 「えっ、なに?」 「いや、べつに……。ありがたい反面、未だ腹がこなれないなぁって」 「あははっ!」 「だから、あははじゃないし」
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