もはや異世界しかない!

14/22
前へ
/139ページ
次へ
「中一のときも、中三のときも、高一も高二も。何で私は義弟にオトコを取られ続けなきゃなんないんだ!」 「……姉ちゃん、数多すぎ」 「私は恋多き乙女なんだよっ!」 「乙女はそんなふうに絡んでこないって。もういいから、今日は泊めてあげるから寝なよ。事故物件のことと仕事のことは、明日いっしょに考えよう」  笑いをどうにか呑みこんで、星歌の背をさすってやる。  服の布越しに行人の手のぬくもりを感じて、彼女は今度はスンスンと鼻をすすりはじめた。 「ごめんね。恋も仕事も家もなくして、こんな夜中に義弟の家でクダ巻いてる女がお姉ちゃんで……」  背中をなでる手が、一瞬ビクリと震える。 「俺は星歌を姉なんて思ったことないけど」 「えっ、なに?」  囁き声を聞き逃した星歌。義弟の方を振り返るが、彼はゆっくりと首を振ってみせた。  星歌の背から手をはなし、そっと身を寄せる。 「なに?」  腕と腕がぴたりとくっつくくらいの距離に、星歌の声が上ずった。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

241人が本棚に入れています
本棚に追加