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「座布団、半分かして。床つめたいんだもん」
「そ、そっか。悪いな、ひとり占めして」
少しだけゆずるつもりで身を引くと、その分行人がグイと寄ってくる。
ひとつの座布団にくっつき合って座るふたり。
義弟の硬い腕を感じ、星歌の視線が部屋のあちこちをさまよう。
「は、離れ……聞こえ……からっ!」
「なに?」
──離れて、心臓の音が聞こえるからっ!
本当に寒いだけだという義弟の様子に、星歌は心の叫びを喉の奥でぐっとこらえる。
代わりに、こう告げた。
「わ、私にはメンエキがナイ、から? その……キョリが? 距離が!」
「ん?」
小首をかしげる行人。
前髪がサラリと落ちて、黒目がちな瞳に影を落とす。
その様に一瞬、ドキリと心音が高鳴る。
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