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星歌のあげた悲鳴に、行人は大袈裟に手の平で両耳を塞いでみせた。
「さ、先をこされたなんて……悔しい。一体、どこのどいつと?」
そして、おもむろに「ハッ」と息を呑む。
「まさか、びーえる?」
「違うよ」
「じゃあ、オンナか?」
生々しい言い方に、行人は横目で彼女をにらむ。
「星歌、もういいよ……」
さっさと寝なよと立ち上がってクローゼットから予備の毛布を取り出す義弟の背に、星歌は尚も質問を浴びせ続ける。
完全に無視されていると悟ると、大仰に顔をしかめてみせた。
「じゃあ……じゃあ、これだけ!」
「何?」
「ドウテイ? せめて童貞だよね? 私だってまだなのに、行人がDTじゃないなんて、もうやりきれないよ!」
「………………」
「ええ? どうなんだ、義弟よ!」
「……それ以上セクハラ発言すると、今すぐお母さんに電話して星歌が学校クビになった経緯を説明するからね」
「ちょっ、クビじゃないってば。自分から辞めて……」
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