もはや異世界しかない!

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 ええい、と叫ぶ星歌。 「今の私に現実を持ち出すんじゃない!」  おもむろに、窓に向かって両手をかかげた。  窓ガラスには室内の照明が反射して、外のくらがりが際立つだけ。月も星も見えやしない。  しかし、キラキラと──。  星歌が腕を動かすたびにブレスレットの星の飾りが揺れて、部屋に小さな夜空を作り出す。 「止めてくれるな、義弟よ。私は異世界へ行く!」 「はぁ?」 「はぁ?って言うな。義弟にオトコを取られ、職を失った私は、もはや異世界に行くしかないんだよ」 「………………」  行人、沈黙する。 「異世界にさえ行けば、チート確実なんだよ!」 「………………」  行人、沈黙する。
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