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大きく大きく目を見開いて、これ以上開き切らないというところでカクリ──落ちた。
「ちょっ、星歌? おーい、姉ちゃーん?」
自身の上にドッカとのしかかる義姉の背をポンポン叩き、反応がないことに行人は「マジか」と困ったように呟く。
星歌の細い顎を指先でつかんで、表情を確認するように覗きこむ。
残念ながら白目を剥いている義姉に苦笑いをもらした。
「金髪王子じゃなくて俺にしときなって」
これは失神か? 完全に眠ってしまったのか彼女に反応がないことに、困ったように首をかしげ、行人は左手をフローリングに投げ出す。
拳と床がぶつかり、コツンと音がするくらい勢いをつけて強めに。
一瞬の痛みを味わってから、ゆっくりと息を吐く。
あとは、右手でやさしく星歌の背を撫でた。
「そうだよ、童貞だよ。誰かのせいでこの年齢までこじらせてるよ」
もって生まれた端正な美貌を良いことに、義姉が惚れる相手に対してわざと色目を使って彼女から遠ざけていたくらいだ。
「うぅーん……異世界ぃ……」
床に重なったままでの間の抜けた寝言に、今度は行人は爆笑した。
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