残念、星歌はホレっぽい

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 丸い輪郭、薄い紅色に染まった頬、大きな瞳に愛らしい唇。  だが声は低く、小柄ながらも体つきは女のそれではない。  どうやら女の子に間違えられるのはよくあることのようで、反射的に声を荒げてしまったことを彼は詫びた。 「助けてくれたのに、ごめん……」  ううん、いいよと星歌は大人の威厳を取り繕うが、頭の中ではまったく別のことを考えていた。  ──金髪王子っちゃあ、まさしくソレなんだけどなぁ。思ってたやつじゃあ……ないんだよなぁ。金髪ったって根元1センチくらい黒いし、こりゃブリーチだよ。ニセ王子だよ。やっぱり現実はこんなもんかなぁ。 「うちの店、今日のお昼に開店するんだけど。えっと、あなたはあの学校の……先生?」  微妙な沈黙は星歌の年齢を見定める時間だったのだろう。  童顔の星歌だが、残念ながら女子高生に見られることはなかったようだ。  特に今は、少々おかしな格好をしている。 「いやぁ……昨日まで事務員だったんだけど、失業しちゃってねぇ。ハハッ……」  なるべく軽い調子を心がけたものの笑い声は乾いており、結果的にニセ王子の頬を引きつらせるに至る。  シマッタ、そこまでぶっちゃけて話すことはなかったなと、星歌は「アハハ」という白々しい笑い声とともに後ずさる。  そのままジリジリと距離をとり、ゆっくりと遠ざかろうとの魂胆だ。  しかし、企みはあえなく潰えた。
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