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可愛い女子高生たちは遠慮する様子もなく義弟の腕や背をベタベタ触っている。
「これはこれは、行……ユッキーはどうやらナメられているようですねぇ…………あれ?」
ズシリ──。
突然。石でも飲んだかのように、胃に重いモノが。
「アレアレ?」
胸を押さえ、ゆっくりと擦ってみる。
「……そういや、お腹がへってるかな」
己を納得させるかのようにそう呟くも、自身の目元が引きつっているのが分かった。
女の子たちに囲まれた行人が向こうをむいていて、その表情が見えないことが妙に気にかかる。
一瞬うつむき義弟の方を見ないようにしてから、思い切って顔をあげる。
その瞬間、星歌は店の隅に自分と同じ表情を見つけ驚愕した。
濡れたような視線。
睫毛を震わせ、半眼をとじて。
その視線は行人の後頭部に注がれているではないか。
潤んだ瞳、頬は花びらのように色づいていて、すぼめられた口元は切なさをかもしだしている。
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