はげしく揺れる

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 しかし、その言葉は途中で空しく掻き消えた。  行人が、つかんでいた星歌の手を振り払ったのだ。  そしてその手は星歌の目の前の薄茶の髪に伸ばされる。 「石野谷(いしのや)、大丈夫だったか?」 「うん、先生……」  至近距離で見つめ合うふたり。 「あのぅ……」と振り絞った星歌のか細い声など、ふたりの耳に届く前に消えてしまったようだ。 「学校に戻ろうか」  石野谷と呼ばれた生徒は、コクリと頷く。  JKらに一声かけると、行人は守るように背の高い女子生徒の傍らに立ち、店を出て行った。 「あの、ゆきと……」  未練がましく伸ばされた星歌の手は空しく空をつかむ。  その目の前で、扉が派手な音を立てて閉まった。  ──あっ、ヤバイ。
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