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再会の日まで
……その日からどれほど経っただろう。
大きなチャリティー番組の生放送も終わり、璉が出ていたドラマも最終回を迎えた。
カレンダーに近付いて数えてみると実に半年が経っていた。
「ふぅ……」
俺はもうれんちゃんのことは諦めている。
そりゃまだ少しは心残りがあるものの、仕事もあるのにいつまでも一人の女の人に悩まされてちゃいけない。
俺は切り替えてパーカーを羽織り家を出た。
「はよーございますっと……」
迎えに来たマネージャーの車に乗り込み直接いつもの撮影現場へ向かう。
映画の撮影だ。
もうほぼ撮り終わっていて、10月末にはクランクアップ。
完成披露試写会に向けての準備、バラエティ番組での番宣。
今が1番忙しい気がする。
車の中でも少し仮眠したからか今日の俺は絶好調だった。
「はい、カット!OK、次行こう!」
監督さんのご機嫌な声が聞こえる。
原作がミステリー小説なこの映画はラブ要素が抑えめで、俺にはちょうど良かった。
この状態でラブシーンなんて出来そうにない。
そして撮影も順調に進み、今日も何事もないまま1日が終わった。
ここは神奈川の山の奥。
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