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出会い
「たくまくんは、大きくなったら何になりたい?」
「ぼく、お医者さんになりたい!」
「そうなんだ!どうしてお医者さんになりたいの?」
「ぼくみたいに病気の人を治したいから!」
「そっかぁ……なれるといいね!」
一見元気そうに見える男の子が、少し恥ずかしそうに頷く。
「はい、OKでーす」
いつもより小声の合図でカメラが止められ、優しくしゃがんでいた俺は立ち上がる。
今日は病気の男の子の取材。
アイドルには、こういうチャリティー的な番組も結構多い。
単に子供が好きなのか、好感度を上げるためか、アイドルは子供たちに優しく話しかける。
俺は後者だ。
仕事だから仕方なく優しい顔をする。
子供なんて、人のことを考えない自己中心的な人種で一緒にいるとイライラする。
昔からその考えは変わらない。
「如月さんって本当に子供嫌いですよね〜」
マネージャーは苦笑いしながら俺に問いかける。
子供たち可愛いのに、と少し嫌味を込めた言い方に、それもそれで腹が立つ。
「どこが?今日も騒ぐから撮影止まったじゃん。
そういうところが嫌いだっつってんの」
あぁ、ムカつく。
そのイライラを晴らすために、俺は屋上に出て煙草を取り出した。
ライターがつきにくく、また徐々にイライラが募っていく。
やっと火をつけようとした時、ふと後ろから声をかけられた。
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