2023年2月

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「仕方ないでしょ、そうなっちゃったんだから!それよりあなた達、明日の休みは早起きしてね!お母さん起こさないわよ!」 「え~っめんどくさっ!」 電話を取れず、機嫌が悪い弟のふて腐れた声。 「だって並ばないと買えないわよ!お一人様ひとつづつなんだからね!」 ググれないから…。 その時、父も叫んだ。 「あっ!俺も並ばなきゃ」 ナビが無いから…。 次の日の朝、確か2年前もしたっけ開店前の行列。前はマスク、今度は辞書。 ただ、前は開店待ちの並びの暇さはツイッター、インスタ、ラインで時間を潰せた。 今は何も出来ない。音楽も聞けない。 ただ時が経つのを無言で待っている人々の行列の中にいた。 やっと手に入れた辞書を家に持って帰る途中。私と弟は不思議な光景を目にした。 「姉貴、あの行列なんだ?銀行から人があふれてるよ!」 「はっ?……あぁキャッシュディスペンサーってやつもオンラインじゃん」 「だから何?」 「なんかぁ~通帳と印鑑でお金下ろすんだって。それも3時までだって言ってた。」 「信じらんねぇ~っ!」 全く我が国はどうなっちまったんだ。と昨夜の弟じゃないけど私も思っていた。心なしか道行く人の顔も険しい…。 「姉貴、辞書ってどうやって使うの?」 「知るわけないっしょ!」 私、高校2年。弟、中学2年。家に着いて買って来た辞書を机に置いて見つめていた。
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