家族

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いつの間にか、二人がすぐ傍にいて、話を聞き終わる頃には皆で号泣していた。今思うと、普段は感情を全面に出す人ではない二人がこんなにも泣いているのを見るは初めてだったかもしれない。 「お父さん、お母さん。酷いこと言ってごめんなさい。それから、たくさん話してくれてありがとう。僕にとってお父さんとお母さんは二人だけだよ。僕のお父さんとお母さんになってくれてありがとう」  二人は感極まった様子で僕を抱き締めた。      僕を抱き締めた母さんごと抱き締めた父さんが、涙を流しながら僕を見て、次に母さんに視線を向けて微笑んだ。母さんもそれに微笑み返す。いつものような光景と、嗅ぎなれた二人の匂いに安心して、そのまま眠りに落ちた。  あの時は伝えたいことがたくさんあって、上手く言葉にはできなかったが、拙くも言葉を返した。  僕では分かりえないような苦労をして、葛藤をして、覚悟を決めて僕を育ててくれているのだ。  母さんの言葉じゃないが、周りがどう思おうと関係ない。僕にとっての両親は父さんと母さんだって胸を張って言える。
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