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後日談
「寝た……かな?」
暗い寝室に小さな声が響く。するり、と陽斗の髪を撫でて、その愛らしい寝顔を覗き込む影が二つあった。
「安心して眠ってる。」
「良かった。まさか、こんなに早く伝えることになるなんてな」
陽斗を見つめる澄空の目には慈愛が浮かんでいる。窓からの月明かりが二人の髪を照らしてた。その様子を眺めた海翔は優しく微笑んだ。
「澄空。良い子に育ってくれて良かったな。お前が愛情を持って育てたからだ。育てたいと言った時は驚いたけど、本当にお前はすごい奴だよ」
「俺はすごくなんかないよ。それに、陽斗と一緒にいる時間が長かったのはお前だ。二人で支え合って来ただろう? 俺の願いを叶えてくれてありがとう」
澄空は顔を綻ばせて海翔を見つめた。愛おしげに目を細めて陽斗ごと澄空を抱きしめる。
「正直、生活のことや育児のこと、金銭面も精神面においても不安なことが多かった。でも、お前と一緒だから大丈夫だって思えたんだ。これからも支え合って生きていこう」
「ああ、勿論。こいつを立派に育て上げる。それが俺たちの責任だからな」
互いを抱きしめ合う。暖かい笑みを浮かべてその間で気持ち良さそうに眠る陽斗の頬にそっと口づけた。これがこの家族の確かな愛の形。この地上に確かな足あとを残して未来へと歩んでいくだろう。
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