02 研究所

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 佐々がドアを開けて、鷹也の背を押して、入室を促した。 「さきに入って」 「失礼します」 「お疲れ様、会社の雑務はどう~? 慣れた?」  声の主は、手前にある応接セットのソファに腰かけて、少女と優雅に紅茶を飲んでいた。  丁度ドア側に向いていた九尾は鷹也にすぐ気づいた。  背中を向けている少女はぴくりとも動かなかったが。  豊満な体にぴったりと沿った白いスーツに、真っ白いピンヒールを履いた女性──彼女が九尾だ。 「なんとか」 「そ? それはよかった……って、なにそれ」  機嫌よく振り向いた九尾は、鷹也を見るなり口角を下げた。  そして、ゆるゆると首を振る。 「あなたは私服でもイマイチだったけど、スーツのセンスも微妙ね~」 「……すみません」  リクルートスーツを適当に買っただけだが、そんなに似合わないのだろうか。  自分で見てみてもピンとこない。  首を傾げる鷹也に、九尾は「はぁ~」とこれ見よがしにため息を吐いた。 「顔がいいんだから、何着ても似合いそうなものだけど。佐々ちゃん、鷹也にスーツ見立ててあげて」 「え、そんな、申し訳ないです」
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