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「私の視界に美しいものを入れたいだけよ。つまり、命令」
九尾はにっこりと笑う。
その横で佐々はさっそくパソコンに向かいキーボードを叩き始めた。
「身体データは前回の測定でいいですか?」
「大丈夫じゃない?」
「イージーオーダーでとりあえず頼みますね」
佐々が笑うと、九尾も微笑み返す。
それから、九尾は自分の目の前に座る少女に声をかけた。
「真白、挨拶して。あなたのパートナーが来たわよ」
少女が立ち上がって、鷹也を振り返った。
目が合う。
「あ」
二人分の声が重なった。
あまりにびっくりして、鷹也は目を丸くした。
同じように少女も驚いて、何度も瞬きした。
この間、階段の上から落ちてきた少女に、間違いなかった。
「鷹也くん、真白ちゃんに会ったことあるの?」
佐々が小さな声で尋ねてきた。
「昨日……、たまたまですけど。駅で」
少女も驚いたのか、きょとんと目を丸めて、鷹也を見つめている。
そんな中九尾だけが軽い調子で「すごい偶然ね~」と笑う。
「面識があるなら早いわね、良かったわ~」
「面識ってほどでは……」
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