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03 真白
「じゃあ、鷹也の執務室を案内するついでに、真白を見てもらった方が良いんじゃないかしら?」
九尾の提案に、佐々が頷いた。
「真白ちゃんはどう? 大丈夫そう?」
「あたしはいつでも」
答える横顔を、鷹也は見ていた。
やっぱり、駅で会った少女だ。
空から落ちてきて、リボンを落としていった。
(あ、リボン……家にあるな。今度持ってこないと)
少女はリボンを持っているか、鷹也に聞いてこなかった。
リボンが彼女のものだとは限らないが、確認するに越したことはない。
「じゃあ、真白も良いみたいだし、まず、実験棟行きましょ~」
九尾は楽しそうに手を打って、全く同じ形をしている建物の中を歩いていく。
鷹也自身は何度も来ているものの、覚えるまでかなり時間がかかった。
『実験棟』
鷹也は自分の少し後ろを歩く少女を窺った。
猫のような目をした少女はとても痩せていた。
肌は白く、今日はパーカーにジーンズとラフな格好をしている。
(……この子が、本当に? なんだか信じられないな……)
実験棟への入り口は九尾が、自分の手首をかざしてロックを解除した。
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