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「この先は生体ロックなのよね~。今日渡したパスじゃ通れないから、鷹也間違えないようにね」
「間違えませんよ」
実験棟に足を踏み入れることは滅多にないだろう、今日くらいのはずだ。
鷹也は研究員ではないし、能力の測定などで出入りしたのも、学生のころの話だ。
九尾は迷いなく一番手前の部屋のロックを開けた。
真っ暗い実験室がぽっかりと口を開ける。
「じゃあ、ショータイムね」
マジックミラーに仕切られた向こうに、真白がひとりきりで入って行った。
脳波を計測するためのヘッドギアをつけた真白は、ぼんやりと椅子に腰かけられている。
女性の一人暮らしといったような内装で、ベッドや小ぶりのソファ、本棚などが並んでいる。
「じゃあ、真白さん。用意が出来たら手を上げて合図してね」
『はい』
「大丈夫みたいです、九尾所長」
マジックミラーで区切られたコントロールルームには、九尾や佐々、鷹也の他に白衣を着た研究員がふたり、機器類の前に座っていた。
「……これ、サーモグラフィーですか?」
モニターのひとつは青から赤のグラデーションで映像が示されている。
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