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「そ。実験の結果が一目で分かるからね~。じゃあ、はじめて頂戴」
九尾の一声で、向こうの部屋が突然ぐらりと動き始めた。
「脳波反応あり、部屋内の温度は変化なし」
研究員たちが無機質な声で読み上げる。
「──……地震?」
「そ。人工地震を起こす装置よ~」
ガラス一枚を隔てただけの向こうが、横に滑るように大きく揺れている。
鷹也はそっと全員を窺ったが、彼らは隣の部屋にいる真白を見つめていた。
地震がどんどん大きくなり、部屋中の荷物が動き始めた途端──、ふわりと質量を感じさせない動きで、真白の髪が微かに広がった。
(嘘だろ……、まさか、こんな?)
そして、鷹也の視界は、一斉に白い光に包まれた。
すべての物が淡く白い光に満ちて、ぴたりと動きを止めた。
テーブルから落ちかけたマグカップの水滴さえ、空中で形を止めている。
本棚から今にも滑り落ちそうな本も、倒れかけたぬいぐるみも、全て。
部屋は相変わらず大きく揺れ、真白の髪やフードは揺れるのに、それ以外の部屋の中の物は全く動かない。
震度計を見ると、最高震度六と表示されていた。
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