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返事はなかった。
その代わりに、光は失せ、部屋にあるものというものが床に落ちる耳障りな音が響いた。
動きを止められていた物たちは、一気に床に落ち、散乱した。
瞬く間に足の踏み場もない惨状が広がった。
そして、ゆっくりと部屋の揺れが収まっていく。
あれだけの揺れの中、部屋の物が揺れないように押さえていたのか。
「すごいでしょ。人間くらいなら簡単に持ち上げられるわ」
「……すごいです……普通ってコップを動かすくらいでも、強い力でしたよね」
「そうね~。今回は地震で揺れてるものを止めさせたけど、部屋中の物を飛ばせたり、壁壊したり、なんでも出来るわよ」
九尾はどこか誇らしげに答えた。
「真白、全部戻して」
『適当でもいいですか』
「勿論~」
無線に反応した真白が、また意識を凝らしていく。
体の周りを包む白い空気が練り上げられて色を濃くするのが、鷹也には見えた。
光が丁寧に渦を巻き、凝縮されていく。白い光は集まり、眩しくて直視できないほどだ。
そしてその光が部屋中を包み込むと、散乱したものがふわりと持ち上がり、それぞれそれらしき場所に戻っていく。
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