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まるで映画の魔法のようだ、ふわふわとそれぞれが意識を持ったように、宙を飛んでいく様は、まるで現実感がない。
そして、呆然と見つめていた鷹也を、真白が体ごと振り向いた。
無表情だ。
得意げでもなければ、何か堪える様子もない、ひたすらに無で、何も感じていない。
その顔に、鷹也は軽く息を飲んだ。
そんな鷹也を真白はただただじっと見つめている。
ガラス越しに見つめ合う鷹也に九尾が尋ねた。
「どんな風に見えたの?」
「淡くて、白い光が見えました」
「流石、『真白』ね。──データは正常に取れた?」
「はい。問題ありません」
「じゃあ、ここはよろしくね~、この子達執務室に案内するから」
九尾は研究員の肩を叩くと、防音使用になっている扉を開けた。
「真白、行くわよ~」
「はい」
すべてを戻した後に、何事もなさそうに座っていた真白は、声を聞くとヘッドギアを外した。
少しふらつきながら、コントロールルームにやってきた。
元々色白だが、少し顔色が悪い気がする。
「相変わらずすごいわね、真白ちゃん!」
佐々が屈託なく声をかける。
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