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鷹也が咄嗟に、真白の細い腕を取ると、くるりと小さな体がターンするように振り向いた。
ターンと同時に、真白の小さな頭が大きくふらつく。
たたらを踏んだその体を、思わず抱えた。
「体は大丈夫なのか?」
「……っ、離して!」
思いのほか強い語気だった。
「いきなり何!? 近いわよ」
「はぁ? 体は大丈夫なのかって聞いてるんだよ。あんなに能力使って、体力使わないわけないだろ!」
「歩ける、子ども扱いしないで!」
こんなに強く反発されることを想像していなかった鷹也は半ば呆然と手を離した。
フン、と真白はそっぽを向く。
「あーっはっはっは! 傑作ね!」
「九尾所長……!」
「だって、佐々ちゃん、組んでその日にこんなケンカできるなんてきっといいペアになるわよ」
目じりに涙が浮かぶほど笑いながら、九尾は歩きはじめる。
慌てて、そのあとに続いた。
真白はツンと鷹也の方を見ようともしない。
(あんなに強い念動力を使っておいて、なんでもないわけがない……、なのになんでこんなに強がるんだ?)
そう尋ねたら更に言い返されることは目に見えていたので、流石に鷹也も尋ねることはしなかった。
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