03 真白

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 案内された部屋のセキュリティには『坂美野市地域管理官室』と小さく書かれていた。 「あれ……案内……」  真白がぽつりとつぶやく。 「あー、これ? 鷹也が迷子になるかもって佐々ちゃんに作ってもらったのよ」 「ありがとうございます、正直助かります」 「毎回お迎えに行くのは佐々ちゃんだし、そんな手間はね~?」 「別にそこまで手間じゃないですけど、鷹也くん、気を遣っちゃうでしょ? だから、名前テープで貼らせてもらったの」 「感謝しなさいよ~ぉ」  笑いながら九尾はセキュリティーを解除し、一番はじめに執務室に足を踏み入れた。 「はい、ここが執務室よ~。しばらくは道を覚えられないだろうから、佐々ちゃんに連絡してね~」 「あたしは覚えてます」 「あたしは、ってなんだよ……」  鷹也のぼやきに、真白はちらりと視線を寄越した。 「あたしはね、ここで育ったの。チルドレンよ」 「はっ? チルドレン?」 「真白」  九尾がどこか咎める口調で制し、佐々は困った顔をして肩を竦めた。 「もう、段取りがあるんだから、無視しないでよね~」  ふん、と真白は息巻いた。  九尾はそんなふたりをおかしそうに目を細めて笑っている。 「ふたりが仲良く出来そうで嬉しいわ~。私のイチオシの組み合わせなの~」 「九尾さんが決めたんですか?」 「そうよ、鷹也。あなたのデビューと真白のデビューが重なって本当に良かったと思ってるのよ~」  そう言われて、鷹也と真白は横目で、お互いを伺った。 
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