03 真白

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「真白はこの研究所育ち、『チルドレン』っていうのは能力調査と強化をかなり受けてる子のこと。真白の力の強さは分かったでしょ?」 「はい。正直言って驚きました、あれほどの力を制御できるなんて思ってもみませんでした」 「真白は優秀だから、相当努力もしたしね~」  上機嫌に笑っていた九尾が鷹也の顔を覗き込んだ。  そして、瞳の奥を見つめるようにして、突然真顔になった。 「ねえ、鷹也。私たちにとっての敵ってなんだと思う~?」 「敵……ですか……」  すぐに浮かばない。 「ブブー、時間切れ―」と九尾は指でバッテンを作る。 「私達の超感覚能力者は否定派と肯定派に左右されて、研究は全然進んでなかった。今でもね、表向きは変わらないわ」 「そうですね」 「超能力者って言ってうさんくさ~い外人がテレビに出たりね~、その度にインチキだ、本物だって色々言われたりね。傷ついてきた仲間はたくさんいるわ」  詐欺師だ、何を考えているのかと超感覚能力者がやりだまにあげられることも多い。  鷹也は真白を見た。その視線を見て九尾が口角を上げて笑う。 「ただね。私達超感覚能力者にとっての敵は一般人でもなんでもない。ルールを守らない同類よ」 「はい」 「鷹也と真白はこの区域の管理を任せることになる。分かるわね?」 「勿論です」 「能力を用いて違法行為を働いていないか、自分で無意識のうちに発動させている未確認の能力者がいないか……彼らは『モグリ』よ。彼らを見つけ出し、私たちの管理下に置く。それがあなたたちの任務」
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