04 白昼の出来事

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 被害女性は六人にも上り、中には外出が怖いと訴え、今でも日常生活に支障を来たしている被害者もいる。 「力を使って女の髪を切るなんて最低」  気絶した少年の顔に、真白が吐き捨てる。  真白の髪が一房だけ、すっぱりと切られていた。  それを見ると苦々しい想いが込み上げる。 「大丈夫か?」 「大丈夫、また髪は伸びるし」  そう言いながら、真白は少年を睨み続ける。  艶やかで真っ直ぐと伸びた真白の髪を囮りにすると決めたのは、当然九尾だ。 『あなたたちふたりに初仕事。なあんと連続通り魔よ~』 『ニュースでやってる奴ですか? あの駅裏で女性の髪を切るって言う……』 『そう~。それが、警察の調べで監視カメラを確認しても実際に髪を切っているところが確認出来ないのよ』 『確認できない……?』 『そう~、実際に女性の髪は切られてて、男とすれ違ってるんだけど、どうも犯行現場が撮影出来てなくて、被害者たちもフッと気付いたら切られてたって感じらしくてね』 『……それで『モグリ』かと?』 『うん、行動範囲圏の確認された能力者のアリバイはばっちりだったからね~』  九尾の能力は誰も知らない。ただ底知れない笑みに、鷹也も佐々も何も尋ね返せなかった。 『で、真白が犯行時間の近くに現場を歩いてみるっていうのはどうかしら』 『反対です!』『あたしは構いません』  当然のように返事は二重になった。
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