04 白昼の出来事

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 お互い勢いよく顔を見合わせて、同じくらいの勢いで相手に言い返した。 『危険だ!』『勝手に決めないで!』 『ふ、ふたりとも落ち着いて』  ふたりの間で、佐々がおろおろと声をかける。 『放置して被害者が増えたり、エスカレートしたらもっと危険じゃない!』 『でも、それとお前が囮になるのはイコールじゃないだろ?』 『いざとなれば自分で身を守れる。あたし以上の適任がいる? 感情論以外で論破出来るならしてみなさいよ』  そういわれてしまえば、鷹也に反論する道がなかった。  能力を使った事件であるのなら、一般の警察では危険すぎる。  真白が囮になることが有効な手だと理解している。  けれど、何かがもやもやとする。  胸の奥に違和感がこびりついている。  それを、うまく言葉にすることが、鷹也には出来なかった。  九尾がポンと両肩を叩いて微笑む。 『はい、決まりね~』  そこから準備と作戦会議を経て、今回の作戦実行となった。 (……なんでそこまで、自分を囮にしたり、向こう見ずなことばっかりするんだ?)  真白も乗せるとばかり思っていた護送車は、そのまま少年を回収すると走り去っていった。 「お前、帰らないのか?」 「大学の講義があるもの……って、痛……っ」  真白の体がぐらりと揺れる。  その肩を鷹也が支える。  余程痛むのか、振り払われることはなかった。
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