04 白昼の出来事

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「おい、大丈夫か?」 「ちょっと足が痛むだけ」 「足……、さっき捕まえる時か」  掴まれた状態を力任せに振り払ったのだ、傷めていても無理はない。  真白は眉根をきつく寄せて、足をひょこひょこと地面につけないように跳ねていた。 「このまま、捕まってろ」 「えっ?」 「いいから」  真白が動こうとするのを制して、鷹也は真白を横抱きにした。  所謂お姫様抱っこだ。  抱え上げた体は驚くほど軽かった。 「こんなに軽いくせに、無理するなよ」 「ちょ、ちょっと! おろして!」 「足、傷めたんだろ。って、腫れてきてる」  抱え上げてみれば、足首が赤く腫れてきているのが分かる。 「あのなぁ、無理するなよ」 「別に無理してない。恥ずかしいから下ろしてよ!」 「騒ぐ方が注目されるぞ」  そう言うと、真白は顔を真っ赤にしながら唇を噛んだ。  こんなに腫れている状態で歩かせるわけにもいかない。  近くのベンチに連れ行き、座らせる。 「少し待ってろよ」と一声かけて、近くのドラッグストアに駆け込んだ。  急いで湿布や固定用のテープ、保護ネットを購入する。  もしかすると真白は帰っているかもしれないと思ったが、ベンチにちょこんと座っていた。  走って戻ってきた鷹也に、小さく肩を竦めた。 「あんまり大事にしないでよ。大したことないってば」  そう言う真白に、鷹也は小さくため息を吐く。
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