04 白昼の出来事

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「抱えて整形外科に連れてってもいいんだぞ」 「大げさ。捻ったくらいなのに」 「うるさい」  買ってきた湿布を手に、真白の前に片膝をつく。  流石に真白は何も言わなかった。  靴を脱がせて、足首の手当てをする。  痛々しいほどに腫れていた。明らかに捻挫だ。 「なんであんな無茶したんだ」 「……ねえ、鷹也」 「呼び捨てかよ」 「なんでそんなに心配するの?」 「無視かよ」 「そっちこそ無視するじゃない」  鷹也は小さくため息を吐いた。 「心配になるからだよ。俺の妹と変わらないくらいの年なのに」 「妹いるの?」 「ああ、中学生」 「全然歳違うじゃん……」 「似たようなもんだろ」 「大雑把」 「……お前を見てるとしんどそうだ」 「しんどそう?」  真白は、鷹也をじっと見下ろして首を捻る。 「あたし、別に無理してないし、しんどくない」 「でも、こんな怪我して、自分の髪を切らせてまでお前が捕まえなくちゃいけないのか?」 「だって任務でしょ」 「お前、怖くないのか?」 「なにが怖いの?」  子供と話しているようだ。  うまくかみ合っていない。  鷹也はどう言葉にしていいか悩んでしまった。  ただ黙って真白の足の手当てを進める。  先に口を開いたのは、真白だった。 「……どうしたら、あたしを認めるの?」 「……は?」  予想とは違う質問だった。
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