04 白昼の出来事

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 鷹也が顔を上げると、いつもの突っかかるような表情ではなく、心底不思議そうに真白が見ている。 「あんた、いつもあたしを可哀相だって目で見てくるよね。どうして?」 「どうしてって」 「だって、九尾さんとか佐々さんとか、研究所の先生たちもみんな、あたしが力を使うと喜んでくれるのに。どうして?」 「それはお前──」 「あれ? 千代田ぁ?」  素っ頓狂な声に名前を呼ばれた。  驚いて振り向くと、目を真ん丸くした隼がこちらを見ていた。  外回りの途中だろう、スーツ姿でビジネスバックを提げている。 (まずい……就業時間中だ……)  凍り付く鷹也と、こちらに歩いてくる隼を、真白は交互に見ていた。 「……誰? 知り合い?」 「職場の先輩」 「え、ヤバいんじゃないの?」  鷹也は小さく頷いた。 (また……なんでこんな状況を……)  勢いに任せて行動していたけれど、よく考えなくても妙な状況だろう。  鷹也は片膝をつき、その上で真白の足を手当てしている。 「お前、勤務中に彼女とデートかぁ? 案外やるなぁ」 「違います、たまたま会っただけで」 「たまたま会って跪いて靴履かせてあげんの?」 「……この子が転んだんで……」  苦しいことは分かっている。  だからこそ、それ以上何も言わず、手当てを続けて隼に背中を向け続けた。  隼は「ふぅん」と含みありげに口の中で呟いた。
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