04 白昼の出来事

13/15
前へ
/134ページ
次へ
 すると見る見るうちに顔が歪んだ。 「――……ッ!!」 「だから、無理だって」 「あのぉ、大丈夫ですか?」  恐る恐ると言った様子で、女性が声をかけてきた。  振り向くと、おっとりした垂れ目の女性が、首を傾げてこちらを窺っていた。 「あ、怪我……」  女性も真白の足首に気づいたようだ。 「私、これでも病院に勤務していて、足を固定しましょうか?」  柔らかな印象そのままに、女性は微笑んだ。 「そんな」 「お願いしていいですか?」 「は? ちょっと鷹也……!」  真白は慌てて鷹也の服を引っ張るが、鷹也は首を振る。 「どうしても病院に行きたくないなら、少しは言うことを聞け!」 「あ、あの喧嘩はしないで下さい、固定するくらいですから」  彼女はにこやかに鷹也たちを止める。  そして、真白をまたベンチに腰掛けさせ、バッグからハンカチを取り出した。  真白のくじいた足首を湿布の上から抑える。 「結構熱を持ってますね……痛むんじゃないですか?」 「痛っ」  真白が声を上げかけた時、鷹也は思わず身を乗り出した。  色だ。  色が見える。  彼女が真白の足首に置いた手から、ふわりと光が零れ始める。 (……まさか、『モグリ』か?)  女性が淡く色を放ち始める。 (嘘だろ、さっきまで全然色がなかったのに)  何度か瞬いても、見えている光景は変わらなかった。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加