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手からこぼれた光は徐々に、女性を真珠色のベールのように包み込んでいく。
手や顔、肩の辺りは複層なのに、そのほかは一層に見える。
これだけ濃い色をしているのに、あまり見たことのないムラの出方だった。
ふっと、鳥肌が立つ感触がして視線を手に戻すと、女性のオーラが動く。
真珠色の光がきらきらと輝き、彼女の手を通してその光の粒子が真白に降り注いだ。
彼女はそれを待っていたかのように、丁寧にハンカチで真白の足首を手際よく固定していく。
(──……能力行使だ……)
事件、事故の処理ではない現場で『モグリ』を発見したのは、これがはじめてだ。
頭が混乱する。
彼女はどう見ても学生には見えない、能力が暴発しがちな精神が過敏そうなタイプでもなさそうだ。
なのに、明らかに能力を行使している。
(これは……自発的に使っている……)
鷹也は知らず知らずのうちに、ぎゅっと拳を握り締めた。
真白の体に光の粒子が融け込むと、彼女は瞬きをして、顔を上げた。
「どうですか? 立ってみてください」
彼女はそっと手を差し伸べて、真白を立たせた。
恐る恐る立ち上がったものの、真昼は何度も瞬きをした。
それから、鷹也を振り向く。
「……不思議、固定してもらったら痛くない……」
「よかったです」
彼女は、ほっと息を吐いた。
「あっ、でも、ハンカチ!」
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